きっと「寺子屋」が大人気なので、それを元に作ったのでしょう。「寺子屋」のセリフからの引用、「寺子屋」の説明などで出来た物語です。

松王丸の屋敷にかくまわれている御台所。
そこへ時平の命令を受けた春藤玄蕃が。
明日には源蔵に「管秀才の首を出せ」と迫ろうと計画中。

呑気(?)な玄蕃はあまり細かな考えがあるようではない様子。
松王丸に「組子を用意したほうがいい」とかいろんな提案をされます。
「なーるほど!!」と玄蕃。
後ろで松王丸と玄蕃のやりとりを聞いていた千代は溜まらず飛び出してきます。
心配そうな様子がタイミングばっちりで決まりました。
玄蕃が帰ってきて…千代が「どうするの?!」と迫ると、松王丸は「俺が出世して、息子の小太郎が出世するように、御台所の首も管秀才の首も時平に渡す」と言い出します。

こんなひどい夫だったとは・・・ショックを受ける千代。
一人嘆く千代のところへ小太郎が「六字のはた」をもって現れる。
松王丸の兄弟、桜丸が責任を感じて自害してしまったので、このはた作ったのだった。

「今お寺から・・・」
夫の悪心を直すため小太郎とともに自害を決意する千代。
わが子のために出世を望むなら、そのわが子がいなくなれば心も直るだろう・・・

「覚悟はよいか」
「南無阿弥陀仏」
そこへ松王丸の声が。
「やれ待て」

すべてを明かす松王丸。
管秀才の身替りとなることになった小太郎。舞台のそででは裏方さんが号泣です。
「あんなに小さいのに・・・」
「小さいから、きょとんとしていて余計に泣ける・・・」
あどけなさ、けなげさ。
「立派に死んでみせまする」
「親子だとほめてくだされ」
増補物なので若干、残酷すぎる気がします。

そして羽織袴を着せ、寺入りの準備をします。
コケコッコー。
鳥がどこかで鳴きます。朝になってしまいました。
…お芝居ですが、一睡もせずに悩んでいたのかもしれません。

そして千代は小太郎を連れて源蔵の開く寺子屋へ。
松王丸は首実検へ。
「この死に顔に会いに行く」